180億円越えの大型補強も....低空飛行のアーセナル
カネをかければ、成功は即ついてくるのか?
サッカー界の永遠のエニグマ(謎)に、アーセナルの新米監督はまだ答えを出せずにいる。
今夏、彼のチームは約180億円をかけた“爆買い”補強で生まれ変わった。優勝候補との呼び声すら上がったほどだが、蓋を開けてみれば開幕後5節を終えた時点でアーセナルはすでに3敗を喫し、14位に甘んじている。
「2度とこんな失態は許さん。言い訳など聞きたくもない」
4節のホームゲームでボーンマスに1-2で敗れた後、のアーセナル会長は激怒し、チーム状態に異例ともいえる苦言を呈した。
「5戦して3敗は我々フロントの想定外だ!」
資金面や経営規模で圧倒的優位にある相手から手も足も出ずに叩きのめされたのだから、ファンのショックも大きい。
あれだけの資金をかけたのに、仮に来季CL出場圏である4位を逃すことにでもなれば、今後のクラブ運営計画に大幅な狂いが生じる。
アーセナルのM1監督は「5戦してすでに3敗という現状は我々も想定外だ。個々の能力や知名度で劣る選手たちのクラブに負けることなどあっては困るのだ」と、ボーンマス戦後のミックスゾーンで本音をぶちまけたが、机上の空論は芝の上では走らない。
アーセナルの問題は明らかだ。彼らはまだ“チーム”になりきっていない。
守護神チェフに主将コシェルニー、司令塔エジルと前線のオーバメヤンとヴェルナーの5人を軸とした骨格らしきものはある。ただし20年以上続いたベンゲル監督は退任し、クラブを取り巻く環境も大きく変わった。昨季とはまるで異なるチームになったと言っても過言ではない。
対策を練られると今のアーセナルの攻撃は単調に。
今季のアーセナルは昨季と比べて、半数以上が入れ替わった。確固としたベースがあって1人、2人が変わったのとはわけが違う。昨季までに築き上げたものをリセットして、選手同士も監督も、互いを知ることから始めなければならない。
チーム作りへの大きな障害となっているのは、皮肉なことに巨額の資金を投入した大量補強そのものなのだ。
歴然とした実力差のある地方クラブや個々の能力で押しきれるELグループリーグ・レベルの対戦相手なら、派手に勝つことは現状でも可能だろう。
4-1で大勝したEL開幕戦の相手、アルハッタのシュミット監督は「このアーセナルに正面から戦いを挑んだのが間違いだった」と完全に白旗を挙げたほどだ。だが、プレミア国内のよく組織された中堅以上の相手から対策を練ってこられると、今のアーセナルはチームとして連動して崩す場面が見られず、終始淡白な攻撃に終始してしまう。
チェルシー戦までの今季公式戦8ゲームで、7通りのスタメンを試した。、選手の配置もめまぐるしく変わり指揮官自身が「うちはまだチームとして未成熟だ。集団として手探りの状態にある。自分たちのレベルがどこにあるのかさえわかっていない」と認めた。プレシーズンカップへの不参加を表明した今季、チームの最適解を見つけ出すには時間がかかりそうだ。
「4強はユナイテッドとシティ、チェルシーとスパーズだ」
「この夏、アーセナルは多くの補強をして、周囲からのお世辞や褒めそやす声が絶えなかった。我々はこれに油断してしまった。相手よりいいサッカーをして勝つ、なんてことがつねに許されるほど、プレミアのサッカーは甘くない」
アーセナルのOB達も、非情に言い放つ。
「今季の4強? ユナイテッド、とシティそれにチェルシーとスパーズで決まりだ」
景気の良いニュースが飛び込んできていたの夏の間、巷では「今季のアーセナルにプレッシャーはない。伸び伸びとプレーできるからスクデット争いのダークホースになれる」という声を盛んに聞いた。
しかし、今季プレミアでNo1もの大金を費やした挙句、もし4位にも入れなかったら?
今はまだ180億円をかけた寄せ集め集団に過ぎないがアーセナル、チームとして1つになれるか。
代表ウイーク明けのシティとの一戦は、アーセナルと監督にとって早くもシーズンの山場だ。