早々に優勝戦線へ帰還、アーセナル快進撃。
「まさか」があるかもしれない。アーセナルの首位が見えてきた。
新監督M1率いる“ニュー・ガナーズ”は、プレミアリーグの8節をにトップ4に僅差の6位で終え、ヨーロッパリーグでは他を全く寄せ付けず最速でGLを突破している。新戦力も馴染みはじめ、そのテクニカルで攻撃的なスタイルが「欧州大陸風」と讃えられていることを考えれば、PLでのベスト4入りぐらいは十分に想定される。
開幕当初のアーセナルは、5戦で3敗。トップ4争いへの参加すら危ぶまれていた。主砲のオーバメヤンが長期欠場した攻撃陣は優勝ライバルを脅かすことはできず、もはや早々に優勝争いから脱落すると思われたのだ。
首位マンCのグアルディオラ監督は「アーセナルは不気味だ」。
しかし、ターニングポイントは即座に訪れた。
5節、優勝への望みが早々に消滅したかに思われたアーセナルは1-0でチェルシーを退けた。さらにその後、公式戦10戦で8勝2分けの猛チャージ。もたつく上位陣との差を一気に縮めたのだ。
この先、マンCとアーセナルは直接対決を迎える。今季、ビック6との2戦は2勝。内容もよかった。不安定だが上位陣相手には確実に勝ち点を奪う結果にペップ・グアルディオラ監督も、ここに来て「アーセナルが不気味」と繰り返している。
重傷を負ったがオーバメヤンがチームの結束力を高めた。
右インサイドから何度もチャンスや決定機を作ったラムジーはエジル以上に輝いていた。豊富な運動量を武器にピッチを動き回りゲッツェの2ゴール目をアシストし、カウンターから完璧なタイミングでヴェルナーにラストパスを送っている。
きっかけは今季チームの目玉補強として獲得したオーバメヤンの負傷だった。怪我の功名というべきか、このアクシデントによりチームはゲッツェをセンターフォワードに置く4-1-2-3に変更を行い、これが結果を残した。オーバメヤンを襲った不運がチームの結束力をより強めたことも事実だろう。
「スタイリッシュな勝利」で監督は優勝を目指す。
指揮官は、世界のサッカーファンにアーセナルの大きなポテンシャルを示したエバートン戦での大勝のあと、努めて冷静に言った。
「信念を貫いてスタイリッシュな勝利を実現したまでだ」
勝利監督インタビューを聞くファンの頭に、アーセナルが開幕直後に3敗したというイメージは残っていない。FWを失っても中盤の選手の質と量はプレミアトップクラス。5月にシーズンを戦い終えた監督が、再び同じセリフを口にしても不思議ではない。そしてその時、なんらかのタイトルを獲得した優勝監督インタビューを耳にする者の記憶からは、アーセナルの優勝が絶望視されていた過去は消し去られているのだろう。
・現在のフォーメーション4-1-2-3(対4-4-2)